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クラシック音楽史の新しい1ページ
器楽劇 (きがくげき) とは?
「器楽劇(きがくげき)」とは、演奏家が 舞台上で 演奏および演技を行い、演じる役の心情や行動を表現して物語を進める舞台芸術です。
器楽劇の音楽ジャンルはクラシック音楽ですが、歌手が主役のオペラと違って器楽奏者がオーケストラピットだけにとどまらず舞台上でも、ソリストたちが物語の役を演じる表現手段として器楽を演奏します。舞台上にいる役の独奏や重奏は、 ピアノやチェンバロなどの伴奏がついたり、オーケストラ伴奏による協奏曲(コンチェルト)形式が中心になります。
いわば、これまでのオペラにおける歌手に代わって器楽奏者が主役を演じる、クラシック音楽劇の新しい様式です。
「器楽の演奏(インストゥルメンタル)」は歌詞がないので、音楽劇の物語の台詞としてそのまま用いることはできません。 そこで、器楽劇では、歌詞に相当する登場人物の台詞を字幕を用いて投影したり、マイム(身振り)によって物語を進めていきます。
器楽劇は、器楽演奏を織り交ぜた演劇(Instrumental music and Drama)であると同時に、 プログラムにストーリー性をもたせた演奏会(Drama and Recital)でもあります。
音楽劇として、歌劇(オペラ)、バレエ、ミュージカルなどが知られていますが、 それらに並ぶ新しい様式の舞台芸術として 「器楽劇(きがくげき)」 を私たちは提唱します。
ホール・舞台は空間デザインが施され、照明・音響・映像・衣裳など、視覚的にも聴覚的にも細やかなモチーフのある表現を追求する総合舞台芸術、それが器楽劇なのです。
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〜 クラシック音楽史 声楽 v.s. 器楽 〜
17世紀
ヨーロッパにおいて現在一般に「クラシック」と呼ばれている音楽ジャンルが確立しました。 器楽は「声楽の伴奏」としての役割がおもでした。
音楽会のプログラムは、声楽曲がメインで、器楽曲はサブに置かれていました。当初、交響曲(シンフォニー)は声楽曲の前座として演奏されていました。
18世紀
声楽曲が発展し、物語性のある “オペラ” が盛んになります。ヨーロッパ宮廷では、華やかなオペラとくらべると器楽曲は地味な存在でした。
しかし、16世紀にイタリアで発明されたヴァイオリンなどの弦楽器は、声楽のソロにも負けないほど革命的に大きく鳴り響き、表現力も豊かで、18世紀にもなると、それまであらゆる面で器楽をしのいでいた声楽の地位を脅かし始めます。 協奏曲(コンチェルト)が誕生します。ヴァイオリン協奏曲をはじめ、声楽の伴奏としてのオーケストラから器楽奏者が抜け出し、声楽家になり代わって、まるでオペラのアリアように名人芸の独奏を演じるようになりました。
19〜20世紀 コンサートホールにおいては、器楽の中核である交響曲がついに声楽と同等の最重要地位まで上りつめます。器楽は、音楽会の主役となることも多くなりました。
他方、クラシック音楽の総合舞台芸術の殿堂たる劇場(オペラハウス)では、器楽は歌の伴奏や前奏曲・間奏曲という地位から抜け出せません。声楽はなお器楽よりも上位ステータスであり続けます。
オペラ、オペレッタからクラシック音楽を離れて派生していった “ミュージカル” が大衆に広まり、歌とダンスによる新しい舞台ジャンルを確立します。
21世紀
私たち 特定非営利活動法人器楽劇協会は、“ 器楽劇 (きがくげき) ” の様式化を進めています。
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音楽劇の比較 |
歌劇(オペラ)
opera |
ミュージカル
musical |
バレエ
ballet |
器楽劇
(きがくげき)
kigakugeki |
主役・演技者 |
歌手 |
歌手兼ダンサー |
ダンサー |
器楽奏者 |
伴奏者 |
器楽奏者 |
器楽奏者 |
器楽奏者 |
器楽奏者 |
音楽ジャンル |
クラシック |
ポピュラー |
クラシック |
クラシック |
物語性 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
舞踊性 |
− |
◎ |
◎ |
− |
様式の確立 |
18〜19世紀 |
20世紀 |
18〜20世紀 |
21世紀 |
発祥・発展地域 |
イタリア・ドイツ |
アメリカ・イギリス |
フランス・ロシア |
日本 |
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